「ねぇ、もうちょっと食べようよ」
不満を口に出しながら、幼稚園へ続く道を歩いて行く。
今日は天気もいいし、自転車じゃなく悠と手を繋ぎ並んで歩きたい気分だった。
それに幼稚園へは、歩いても三十分もあれば着いてしまうし
その頃には丁度お昼頃。タイミング的にもいいんじゃない?
「ハルが作るコロッケが、大き過ぎるんだよ」
そういう悠は、結局一個しか食べなかった。
あとは添え物のキャベツを食べて、お腹いっぱいと箸を置いてしまった。
大きさは市販のコロッケと違わない。ただ、ちょっと厚みがあるだけだ。
そういえば小さい頃母親が作ってくれたコロッケも、厚みがあって食べごたえがあったな。
知らず知らずのうちに、真似していたのかもしれない。
「でもなぁ。私としては、いっぱい食べてもらいたいんだけどな」
「今でも十分だよ。太らせるつもりかよ」

