クローバー♧ハート - 愛する者のために -


「ねぇ、もうちょっと食べようよ」



不満を口に出しながら、幼稚園へ続く道を歩いて行く。

今日は天気もいいし、自転車じゃなく悠と手を繋ぎ並んで歩きたい気分だった。

それに幼稚園へは、歩いても三十分もあれば着いてしまうし

その頃には丁度お昼頃。タイミング的にもいいんじゃない?



「ハルが作るコロッケが、大き過ぎるんだよ」



そういう悠は、結局一個しか食べなかった。

あとは添え物のキャベツを食べて、お腹いっぱいと箸を置いてしまった。

大きさは市販のコロッケと違わない。ただ、ちょっと厚みがあるだけだ。


そういえば小さい頃母親が作ってくれたコロッケも、厚みがあって食べごたえがあったな。

知らず知らずのうちに、真似していたのかもしれない。



「でもなぁ。私としては、いっぱい食べてもらいたいんだけどな」

「今でも十分だよ。太らせるつもりかよ」