クローバー♧ハート - 愛する者のために -


「そ。昨日迷惑かけたし、誰かさんが密かにお弁当分けてあげてたって聞いたしね」



悠は、ウッと気まずそうに顔を逸らした。

困らせたいわけじゃない。もちろん、怒るつもりもない。

だけど、正直に言って欲しかった。

胸を張って“任せなさい”と言えるほど金銭的に余裕は無いけれど

いつもお世話になっている人だし、お弁当の一つや二つ作れないほどじゃない。


けれど困った……。お弁当箱が無い。

スーパーに行った時に、買ってくればよかった。

とにかく、何かに詰めなければ――。

キッチン周辺を手当たり次第にあさり、ようやく見つけたのが半透明な四角い保存容器。

通称、タッパー。

可愛げも色気も何も無いけれど、無いよりマシだよね。


少し大きめのお結びを3つ入れて、仕切りをした左側におかずを詰めていく。

メインはコロッケ。空いた場所には、アスパラとミニウィンナ―の櫛刺しと、卵焼き。

彩りを考えて、プチトマトと青菜のお浸しを入れた。

私たちが食べ終える頃には、荒熱も取れていい感じになるだろう。