「そ。昨日迷惑かけたし、誰かさんが密かにお弁当分けてあげてたって聞いたしね」
悠は、ウッと気まずそうに顔を逸らした。
困らせたいわけじゃない。もちろん、怒るつもりもない。
だけど、正直に言って欲しかった。
胸を張って“任せなさい”と言えるほど金銭的に余裕は無いけれど
いつもお世話になっている人だし、お弁当の一つや二つ作れないほどじゃない。
けれど困った……。お弁当箱が無い。
スーパーに行った時に、買ってくればよかった。
とにかく、何かに詰めなければ――。
キッチン周辺を手当たり次第にあさり、ようやく見つけたのが半透明な四角い保存容器。
通称、タッパー。
可愛げも色気も何も無いけれど、無いよりマシだよね。
少し大きめのお結びを3つ入れて、仕切りをした左側におかずを詰めていく。
メインはコロッケ。空いた場所には、アスパラとミニウィンナ―の櫛刺しと、卵焼き。
彩りを考えて、プチトマトと青菜のお浸しを入れた。
私たちが食べ終える頃には、荒熱も取れていい感じになるだろう。

