「悠、ごめんね。大丈夫?」
「なんとか……」
本当に苦しかったらしく、私に背を向けてゲホゲホ噎せ返っている。
そんな小さな彼の背中を撫でながら、安堵の溜息を吐いた。
良かった、夢で。
嫌な夢だった……あまりにも現実味があり過ぎて、怖い。
「ハル、どうかした?震えてる」
身体の向きを、くるりと変えて私の手を握り締めてくる。
今でも、あの夢を思い出すと震えが止まらない。
あの夢が、正夢にならなければいい。
悠が私から離れていくなんて、考えたくない。
「何でもないよ。今日は、悠の好きなもの作ってあげるね。何がいい?」
「ん、と……コロッケがいい」
おぉ……コロッケか。
そう言えば最近、油ものは作ってないな。
油の処理が面倒くさいし、何より部屋が油臭くなるから嫌なんだよね。

