クローバー♧ハート - 愛する者のために -


「悠、ごめんね。大丈夫?」

「なんとか……」



本当に苦しかったらしく、私に背を向けてゲホゲホ噎せ返っている。

そんな小さな彼の背中を撫でながら、安堵の溜息を吐いた。

良かった、夢で。

嫌な夢だった……あまりにも現実味があり過ぎて、怖い。



「ハル、どうかした?震えてる」



身体の向きを、くるりと変えて私の手を握り締めてくる。

今でも、あの夢を思い出すと震えが止まらない。

あの夢が、正夢にならなければいい。

悠が私から離れていくなんて、考えたくない。



「何でもないよ。今日は、悠の好きなもの作ってあげるね。何がいい?」

「ん、と……コロッケがいい」



おぉ……コロッケか。

そう言えば最近、油ものは作ってないな。

油の処理が面倒くさいし、何より部屋が油臭くなるから嫌なんだよね。