『ル……ハル……』
悠?……もう、起きて大丈夫なの?熱は?
声が聞える――。
その声に応えたいのに、体が重くて動かない。目さえ、開けられない。
『ハル、僕行くね』
行くって、何処へ?
まだ熱が下がったばかりなんだから、無理しないで。
声を掛けたいのに、口を開くことも出来ない。
ただ暗闇の中に、悠の声だけが響く。
それが不安を掻き立てる。
ねぇ、何処へ行くの?悠。返事をして、ねぇってば!!
『僕はハルの傍にいない方がいいんでしょ』
そんなことない。どうして、そんなこと思うの?
誰かに言われたの?ねぇ、教えてよ。
『お父さんが教えてくれたよ。僕がいなければ、ハルは幸せになれるって』

