クローバー♧ハート - 愛する者のために -


「ごめんなさい。こんなに遅くまで引き止めてしまって」



見送りするために玄関先で向かい合う私たち。



「いいえ。俺が残りたくて居たんですから、気にしないでください」



護くんはスニーカーを履き、つま先をトントンと鳴らしている。



「じゃ、はるさん。おやすみなさい」

「今日は、本当にありがとうございました」



深く頭を下げて、お礼を言う。

熱を出した悠をここまで連れて来てくれたこと。私の昔話を何も言わず聞いてくれたこと。

そしてこれからのことをについて、力になってくれると言ってくれたこと。

全てに感謝しなくてはいけない。

それに、私のことを好きだと言ってくれたことも。

今は彼の思いに答えを出すことは出来ないけれど、いつかきっと――。


彼の背中を見送り、悠が眠る部屋へと向かう。

小さな胸を上下させて、静かに寝息を立てている我が息子。

悠の隣に横になって、彼の胸をトントンとリズムよく叩く。


たった一人の愛しい息子。何があっても、守るからね。