「もう、こんな時間。遅くまでスミマセン。帰らないと他の保育士さんたちに、怒られちゃいますよ」
「え、時間?……あーそうですね。帰りたくないですけど、仕方ないですね」
こんなに私が焦っているのに、当の本人は時計を見てもの気にしている様子はない。
まさか、かなりの大物?こんなに遅くに帰ってきたら、どうしたって怒られるのは必至でしょうに。
まるで他人事のよう。
「じゃ、はるさん。このことは、またゆっくり話しましょ。俺なりに、いろいろ調べてみますね」
「ありがとう。でも、無理はしないで」
本当は弁護士とかに、相談できれば一番いいんだろうけど
今の私には、そんな余分なお金はない。
始めは素人考えでどこまで対抗できるか分からないけれど、出来るだけ一人で何とかするつもりだった。
でも護くんが力になってくれると言ってくれただけで、少しだけ力が湧いてきた。
不思議と、なんとかなるんじゃないかと思える。

