彼の新たな一面を知った嬉しさもありつつ、名前を呼んだ。
単なる名前。だけど、こうして改めて呼ぶと恥ずかしい。
何でだろう……胸の奥に疼きを感じる。
懐かしく、とても大切な――何て言うんだったかな、この気持ち。
「ん~。まぁ、今のところは、それで我慢します」
私に名前を呼ばれたことが、そんなに嬉しいのか満面の笑みを浮かべている。
愛犬がご主人様に褒められた時のように、ブンブン尻尾を振っている姿が
今の護くんと重なる。さしずめ、豆柴ってところだろうか。可愛い……。
何気なく、彼の背中側にある壁時計に視線を送った。
「あーっ!!」
時計は零時をとっくに過ぎて、一時が来ようとしている。
それに気が付いて、急に現実に引き戻された気がした。
「はるさん、どうかしましたか?」
突然、大声をだした私にビックリしたのか
目を大きく見開いて、あたりをキョロキョロ見渡した。

