クローバー♧ハート - 愛する者のために -


彼の新たな一面を知った嬉しさもありつつ、名前を呼んだ。

単なる名前。だけど、こうして改めて呼ぶと恥ずかしい。

何でだろう……胸の奥に疼きを感じる。

懐かしく、とても大切な――何て言うんだったかな、この気持ち。



「ん~。まぁ、今のところは、それで我慢します」



私に名前を呼ばれたことが、そんなに嬉しいのか満面の笑みを浮かべている。

愛犬がご主人様に褒められた時のように、ブンブン尻尾を振っている姿が

今の護くんと重なる。さしずめ、豆柴ってところだろうか。可愛い……。

何気なく、彼の背中側にある壁時計に視線を送った。



「あーっ!!」



時計は零時をとっくに過ぎて、一時が来ようとしている。

それに気が付いて、急に現実に引き戻された気がした。



「はるさん、どうかしましたか?」



突然、大声をだした私にビックリしたのか

目を大きく見開いて、あたりをキョロキョロ見渡した。