少しだけ、今日だけ弱音吐いてもいいかな?

ずっと抱えていた不安を話しても、罰はあたらないだろうか。



「少し話が長くなるかもしれませんが、聞いていただけますか?」



壁に掛けてある掛け時計に目が行き、もう二十三時が来ようとしている事に気が付いた。

今から話せば、絶対零時を過ぎてしまう。

私は明日休みだからいいものの、先生は違う。早く返してあげなくちゃ。



「……幼稚園に、帰らなきゃいけないですよね」



今日はお泊り会。園児が待っている。

なにせ彼は幼稚園でもアイドル的存在で、大人気なのだから。



「大丈夫です。もう、園児たちも寝てますし……こんな辛そうな顔をした人を、一人で居させたくありませんから」



センセの優しさに、涙が出そうになった。

自分がどんな顔をしているのかなんて分からない。

だけど、もう自分の中に閉じ込めておくには限界だったのかもしれない。

奥の部屋で眠る悠に、一度だけ視線を送ってゆっくりと話し始めた。