クローバー♧ハート - 愛する者のために -


「以前、悠のお弁当を見て“美味そうだな”って言ったことがあるんです。そしたら“食べてみる?”って卵焼きをくれて……それから、時々くれるようになったんです」



180㎝はあるだろう大きな体を小さくして、バツが悪そうに頭を掻いた。

別に怒るつもりは無いけれど……悠が、一ノ瀬センセにお弁当を分けているのが意外だった。

元々、好き嫌いが無い悠。だから、何を入れても完食してくれていたけれど

いつの頃からか「少し足りない」と言ってきたことがある。

その時は、成長期だし食欲旺盛になってきたのかな、程度しか思わなかった。

もしかして、一ノ瀬センセに分けていたから?

だとしたら何故、そんなことをするようになったんだろう。

別に先生にお昼御飯がないって訳じゃないと思うけどな。



「……センセ、お弁当ってどうしてるんですか?」

「あぁ俺、一人暮らしなんで適当にコンビニでパンを買ったりしてます」



え……そんなの、体力勝負のあの仕事では足りないでしょ。

確か、二十五歳だよね。この年齢の男性って、もっと食べるんじゃないの?