それにしても、普段は悠が座っている場所に別の誰かがいるのは不思議な感じがする。
ちょっと新鮮かも。
「お待たせいました。お口に合うか分かりませんけど」
そう言って出したのは、モヤシとキャベツたっぷりの野菜炒めとチャーハン。
「うわぁ、美味しそう。俺、はるさんが作るも全部好きです。悠の弁当だって、シンプルだけどちゃんと彩りとか栄養考えて入れてるし……」
そういうと一ノ瀬センセは“いただきます”と行儀よく手を合わせて料理に手を付けた。
キャラ弁とか作ってあげたいけど、私にはそんな余裕も時間も、そして技量も無いですから。
以前作ろうとして、悠にセンス無いから止めてって言われたことある程。
だけど、今の一ノ瀬センセの言い方はまるで食べたことがあるみたい。
見かけによらず豪快に食べ進めていく彼に、何気なく聞いてみる。
「もしかして、食べたことあるんですか?」
すると何故か、ゴホゴホッと噎せて慌てて水に手を伸ばした。
そして少し落ち着いてから、悪戯した子供が親にバレたときのように
チラチラと私の様子をみながら、口を開いた。

