「帰って――今更、話すことなんて無いわ」 彼の前を通って、自転車のカギを外した。 「悠」 今、なんて言った?まさか、悠が目的なの? 落とした視線を、裕貴に戻す。 「俺の子供だよな」 「何を言ってるの。悠は……あの子は、私の子供よ」 今度ばかりは、動揺を隠せない。 ハンドルを握る手にギュッと力を込めて、裕貴を睨み付ける。 「俺と君の、ね」 「違う。裕貴は関係――」 「無いなんて言わせないよ。もうすぐ、悠は六歳だろ?俺と別れたのも六年前だ」 凛とした、迷いのない言葉が私を突き刺す。