「悠、正門で写真撮ろうよ」
「……いいけど。早くしてね」
いつもの照れ隠しなのか、ほんのり耳を赤くしてぶっきら棒に言い放つ。
本当は嬉しい癖に、照れ屋なんだから。
私は正門に居た先生に頼んで『入学式』と墨で書かれた立て看板を挟み写真を撮った。
三人家族になって初めての写真。
そして中に入ると私たちは分かれ、悠は同じ新入生が集まる教室へ。
私たちは式が開催される体育館へ、それぞれ行くことになった。
「悠、ひとりで大丈夫?」
初めて来る学校だから、場所がわからなくて困るだろうと聞いたのに
悠は「余裕」とVサインする。
ついでに「ほら」と、ある方向を指さした。
そこには『案内係』の腕章をはめた先生らしき男性が廊下に立っている。
しかもその先には、『新入生はコチラ』と書かれた矢印まであった。
なるほど、これなら迷子にはならないわね。
「じゃ、後でね」
「うん。あ……これ、ハルにあげる 」