「温めてあげる」



隣に立つ護くんは、そういうと私の右手を繋いで

自分のコートのポケットにそのまま入れた。

その中で、指を絡ませた恋人繋ぎをする。

ちょっとだけ、悠の知らないところでの恋人気分。



「ありがと」



嬉しくて、思わず少し背伸びして彼の左頬に唇を寄せた。

悠は雪に夢中だから、私たちの方なんか見ていない。

今は、雪だるまを作ろうとしてるみたいだ。

私達は見詰め合い、触れるだけのキスを交わした。



「愛してます、陽香さん」

「私も……愛してる、護」



これからは、どんどん自分の気持ちを彼に伝えていこう。

そしていつか、“陽香”って呼び捨てで呼んでもらいたい。

微笑み合い私は彼の肩に頭を預けて、燥ぐ悠をいつまでも見つめていた。