クローバー♧ハート - 愛する者のために -


私は必死だった。

自分を産んでくれた母親を、否定して欲しくなかったから。


母親は、日に日に大きくなっていく自分のお腹を抱え

時にはお腹を叩き自分を主張する我が子に、愛情が芽生え徐々に母親になっていく。

そしてお腹を痛めて産んで、初めて会えた時は誰もが涙する。


私だって、そうだった。

悠が生まれるまで、不安ばかりで毎日どうしようって町を彷徨ってた。

でも佳純さんに会えて、自分の気持ちを受け止め

手を貸してくれる人たちに出会えたから、こうして今いられる。

そうでなければ、仕事も家事も育児も全部一人でなんて、なかなか出来る事じゃない。



「はるさんに、そう言われると不思議とそう思えてくる。きっと俺の母親も苦しんでいたのかなって――」

「きっとそうよ。だから、お母さんの分も幸せにならなきゃ」



護くんの手を両手で握り締め、彼の目を見詰める。

どうか、私の思いが届きますように――。