私は必死だった。
自分を産んでくれた母親を、否定して欲しくなかったから。
母親は、日に日に大きくなっていく自分のお腹を抱え
時にはお腹を叩き自分を主張する我が子に、愛情が芽生え徐々に母親になっていく。
そしてお腹を痛めて産んで、初めて会えた時は誰もが涙する。
私だって、そうだった。
悠が生まれるまで、不安ばかりで毎日どうしようって町を彷徨ってた。
でも佳純さんに会えて、自分の気持ちを受け止め
手を貸してくれる人たちに出会えたから、こうして今いられる。
そうでなければ、仕事も家事も育児も全部一人でなんて、なかなか出来る事じゃない。
「はるさんに、そう言われると不思議とそう思えてくる。きっと俺の母親も苦しんでいたのかなって――」
「きっとそうよ。だから、お母さんの分も幸せにならなきゃ」
護くんの手を両手で握り締め、彼の目を見詰める。
どうか、私の思いが届きますように――。

