そんな私の手の甲に、冷たい何かが落ちてきた。

不意に顔を上げると暗い空から、はらはらと白いものが舞い落ちてきている。



「……雪」

「ホントだ。どうりで寒いわけだ。このままじゃ、風邪ひいちゃうね。中に入ろう」



もしかしたら、帰る頃は一面白銀の世界になっているかもしれない。

普段の悠が見たら、きっと喜ぶのに……今は寒さと眠たさで、それどころでは無いみたいだ。


護くんの後を追って、入ったのは礼拝堂。

厳かな雰囲気が漂い、身が引き締まる。

暖房をしてくれているのか、外に比べるとずいぶん温かい。

これならコートを脱いでも大丈夫そうだ。


明日のクリスマスイブの準備か、あちらこちらに飾りが施されていた。

一番前の椅子に座り、眠たそうな悠を横に寝かし上からコートを掛ける。

すると数分後には寝息をたてはじめた。



「もう。佳純さんのところにいれば、寒い思いしなくて済んだのに」



思わず愚痴が口をついで出てしまう。

でも寝顔が可愛くて、コート越しに彼の背中をポンポンと優しく叩いていく。