「分かった。悠も一緒に行こう」
「護くん、いいの?」
「はい。多分、悠も知った方が良いのかもしれない」
少し困ったように眉を下げて、笑った。
私は、足にしがみ付く悠の頭を掻き撫でながら小さく溜息を吐く。
「護くん、ゴメンね」
「いえ。遅くなるし、あまり気持ちの良いものでは無いかもしれないから、連れていくのはどうかと思ってたんだけどね。とにかく、寒いし車に乗って」
後部座席のドアを開けて、入るように促す。
中に入れば、エアコンを入れていたのかとても温かい。
悠も少し落ち着いたようで、車の中に入ると窓にしがみ付いて外を見詰めている。
「ここから一時間くらい掛かるんだ。疲れてたら、寝ていいから」
バックミラー越しにそう言うと、シートベルトをして緩やかに車を発進させた。

