クローバー♧ハート - 愛する者のために -


二十三日は祝日。だから、幼稚園はお休みだ。

だけど、私は仕事がある。本当は休んであげたいけど、人手が足りなくてそうもいかない。



「いいんです。少しだけ、俺にはるさんの時間を下さい」

「分かった……悠は、連れていかない方がいい?」

「……そうしてくれると、有難いです」



悠が一緒じゃ、困ること。いや知られたくないのかもしれない。

とにかく、当日は佳純さんに頼んで悠を預かってもらおう。



そして、当日――。

私は朝からソワソワしていた。

もしかしたら、護くんのご両親に会わせてくれるのかもしれないと思ったからだ。

そして定時になって、着替えにロッカールームに向かう。



「佳純さん。悠を、少しの間お願いします」

「は~い。はるちゃん、今日はデート?」

「ち、違います」



熱を持ち始めた顔を両手で押さえながら、そそくさと病院を後にした。

デートじゃないよね、きっと。

そんな浮いた気持じゃ、ダメな気がする。

両手で頬をパンと一回叩いて、気を引き締めた。