クローバー♧ハート - 愛する者のために -


「はるさん、俺に冷たいぃ」



駄々こねてる……まるで、大きな子供。

でも、こういう彼も好きで放っておけない。



「風邪ひいちゃうよ。中に入ろ、護くん」



振り向いて彼に向けて手を差し伸べると、パァと顔が輝いて駆け寄ってくる。

本当に、仔犬みたい。

園の中に入ると、悠は繋いだ手を直ぐに離して靴を脱いで

そのまま友達の待つクラスへ駈け込んでいった。

そんな彼の脱いだ靴を靴箱に入れて、小さな彼の背中を見送る。

さぁ、私も仕事に行かなくちゃ。



「あの。はるさん」

「ん?」



一緒にいた護くんが不意に声を掛けてきた。

彼に声に振り返ると、思わず息を飲む。

だって、真剣な目をしてたから……何かあるって、直ぐに分かった。



「来週の二十三日なんですけど、俺と一緒に言って欲しいところがあるんです」

「え……でも、仕事があるから。夕方からになるけど、いい?」