「はるさん、俺に冷たいぃ」
駄々こねてる……まるで、大きな子供。
でも、こういう彼も好きで放っておけない。
「風邪ひいちゃうよ。中に入ろ、護くん」
振り向いて彼に向けて手を差し伸べると、パァと顔が輝いて駆け寄ってくる。
本当に、仔犬みたい。
園の中に入ると、悠は繋いだ手を直ぐに離して靴を脱いで
そのまま友達の待つクラスへ駈け込んでいった。
そんな彼の脱いだ靴を靴箱に入れて、小さな彼の背中を見送る。
さぁ、私も仕事に行かなくちゃ。
「あの。はるさん」
「ん?」
一緒にいた護くんが不意に声を掛けてきた。
彼に声に振り返ると、思わず息を飲む。
だって、真剣な目をしてたから……何かあるって、直ぐに分かった。
「来週の二十三日なんですけど、俺と一緒に言って欲しいところがあるんです」
「え……でも、仕事があるから。夕方からになるけど、いい?」

