クローバー♧ハート - 愛する者のために -


ガバッと遠くから勢いをつけたまま、正面から抱き付いてくる男性。

毎日のように、こうなるからいい加減分かってるつもりなんだけど

かわすことが出来ない。


周りも公認なのか、何も言わないんだよね。

私と護くんが付き合い始めたのも、いつの間にか皆知っていたし

何処から情報が洩れてるんだろう。



「あぁ、会いたかった。寒かったよう」

「ん、まぁ。冬だからね。それに、昨日も会ったよね」



心は早鐘のように鳴り響くけれど、それを隠す様に敢えて冷たく突き放す。

だって悠もいるし、“女”の顔なんて息子に見せたくない。

どうしたって、悠の前ではブレーキが掛かってしまうのが母親としての性。


「はい、はい」と護くんの大きな背中をポンポンと軽く叩いて離れた。

すると捨て犬のように目を潤ませ、私を見てくるけど無視決行。

構わず悠の手をとり、園の中へ。

だって寒空の中、このまま悠を外に置いておくわけにはいかない。

風邪でも引いたら大変だ。