ガバッと遠くから勢いをつけたまま、正面から抱き付いてくる男性。
毎日のように、こうなるからいい加減分かってるつもりなんだけど
かわすことが出来ない。
周りも公認なのか、何も言わないんだよね。
私と護くんが付き合い始めたのも、いつの間にか皆知っていたし
何処から情報が洩れてるんだろう。
「あぁ、会いたかった。寒かったよう」
「ん、まぁ。冬だからね。それに、昨日も会ったよね」
心は早鐘のように鳴り響くけれど、それを隠す様に敢えて冷たく突き放す。
だって悠もいるし、“女”の顔なんて息子に見せたくない。
どうしたって、悠の前ではブレーキが掛かってしまうのが母親としての性。
「はい、はい」と護くんの大きな背中をポンポンと軽く叩いて離れた。
すると捨て犬のように目を潤ませ、私を見てくるけど無視決行。
構わず悠の手をとり、園の中へ。
だって寒空の中、このまま悠を外に置いておくわけにはいかない。
風邪でも引いたら大変だ。

