クローバー♧ハート - 愛する者のために -


片づけをして、その場から歩き出そうとした時

護くんに呼び止められた。



「ん?」

「……うんん、何でもない。ゴメンね、さぁ行こうか」



何を言いたかったのだろう。

少しだけ、彼の表情が曇った気がしたけれど今は普段と変わらず

悠と笑顔で話をしている。


何か悩んでいるんだったら、話してほしいのに――。

私じゃ、力になれないことなの?

ココに連れてきたのも、彼が何話してくれるかもと思ってきたのに。

やっぱり話してくれる気には、なれないんだ。


打ち明けてくれない疎外感を感じ、淋しい気持ちを抱いて小さく溜息を漏らす。

こんなんじゃ、いけない。待つと決めたんだ。彼を信じよう。



『お父さん、お母さん。また来るからね』



一度、墓石に振り返ってそう心の中で声を掛けると、二人を追いかけるように

小走りで、その場から離れた。