片づけをして、その場から歩き出そうとした時
護くんに呼び止められた。
「ん?」
「……うんん、何でもない。ゴメンね、さぁ行こうか」
何を言いたかったのだろう。
少しだけ、彼の表情が曇った気がしたけれど今は普段と変わらず
悠と笑顔で話をしている。
何か悩んでいるんだったら、話してほしいのに――。
私じゃ、力になれないことなの?
ココに連れてきたのも、彼が何話してくれるかもと思ってきたのに。
やっぱり話してくれる気には、なれないんだ。
打ち明けてくれない疎外感を感じ、淋しい気持ちを抱いて小さく溜息を漏らす。
こんなんじゃ、いけない。待つと決めたんだ。彼を信じよう。
『お父さん、お母さん。また来るからね』
一度、墓石に振り返ってそう心の中で声を掛けると、二人を追いかけるように
小走りで、その場から離れた。

