私が目を開け二人を見ると、悠は私の方をみて
「まだ?」と小声で言い、私の服の裾を引っ張って様子をうかがう。
けれど、護くんはまだ目を閉じたままだ。
随分長く手を合わせてくれてる。私の両親と、話をしているのかな?
暫くして、ようやく目を開けた護くんは何かを決意したような
強い眼差しで墓石を見つめていた。
「何を祈ってたの?」
「ん?あぁ。初めましてって挨拶と、これから俺が陽香さんと悠を幸せにしますって宣言してたんだ」
ニッと笑みを浮かべて立ち上がり、私の隣に並んだ。
両親にきちんと挨拶してくれるあたりは、護くんらしいと思う。
でもそれ以上に”はるさん”じゃなく”陽香さん”と呼ばれたことが嬉しかった。
こういう事を、サラッと言っちゃうあたりズルい。
普段から言ってくれないかなぁ……なんて、欲張りかな。
「さぁ、帰ろっか」
「ねぇ、はるさん」

