クローバー♧ハート - 愛する者のために -


秋の風が私たちの間を吹き抜けていく。



「はるさ――」

「ごめんね。護くんに会わせてあげれなくて……」



護くんの声を遮るように、そう言った。

本当は会わせてあげたかった。私にとって、両親はとても誇らしい人達だったから。

普通のサラリーマンと主婦だったけれど、いつも笑顔溢れる家庭だった。


どんなに辛いことがあっても、次の日にはちゃんと笑顔で“いってきます”が言えた。

私も、両親のような家庭を作りたい。



「そんなことありません。ココに、ちゃんと連れてきてくれたじゃないですか」



護くんは一歩踏み出し、墓石の前に座った。



「さぁ、キレイにしてあげましょう」



そう言って寒空の中、腕まくりをして周りに生えた草を取り始める。

悠も初めての事だけど、私や護くんに聞きながら掃除をしていく。

そして、最後は三人並んで手を合わせた。


私は暫くここに来れなかったことを詫び、悠の誕生と

これから一緒に歩んで行きたい人が出来たことの報告をした。