秋の風が私たちの間を吹き抜けていく。
「はるさ――」
「ごめんね。護くんに会わせてあげれなくて……」
護くんの声を遮るように、そう言った。
本当は会わせてあげたかった。私にとって、両親はとても誇らしい人達だったから。
普通のサラリーマンと主婦だったけれど、いつも笑顔溢れる家庭だった。
どんなに辛いことがあっても、次の日にはちゃんと笑顔で“いってきます”が言えた。
私も、両親のような家庭を作りたい。
「そんなことありません。ココに、ちゃんと連れてきてくれたじゃないですか」
護くんは一歩踏み出し、墓石の前に座った。
「さぁ、キレイにしてあげましょう」
そう言って寒空の中、腕まくりをして周りに生えた草を取り始める。
悠も初めての事だけど、私や護くんに聞きながら掃除をしていく。
そして、最後は三人並んで手を合わせた。
私は暫くここに来れなかったことを詫び、悠の誕生と
これから一緒に歩んで行きたい人が出来たことの報告をした。

