「今日ね、命日なんだ。私が高校二年の時に、交通事故で亡くなったの。私は看護の合宿中で家に居なくて、二人で旅行に行く途中に飲酒運転の暴走車に追突されて、即死だったそうよ」
彼に向き合って、静かに話し始めた。
もうきちんと私の中では整理が出来ている。
だから心の中は、穏やかだ。
「そんな……」
けれど、当時の私の気持ちを想像しているのか
護くんの顔は今にも泣きそうなくらい、歪んでいた。
「当時は、現実的に受け止めることが出来なくて、勉強に逃げてた時もあったの。でも看護師って仕事をするなら、受け止めなきゃって……櫻井総合病院に就職が決まった日に、ココにきたの」
あの日、墓石前に泣き崩れて小一時間ここから動くことが出来なかった。
身内の死。しかも、両親の死をこんなにも早くに迎えるなんて思いもしなかった。
私の看護師という仕事は、その生死を見届ける大切な仕事。
元気に帰っていく人もあれば、ベッドで息絶える人もいる。
改めて、ここで両親に誓った。私のベストの力で、患者さんと向き合うと。

