睨んでも全然怖くない。だけど、護くんには効力抜群のようで
慌てて私から離れると、一目散に園内に入っていった。
「はるさ~ん。後で、話を聞かせてね」
という捨てセリフを残して――。
ふふっ、護くん。悠と園長先生には弱いんだよね。
「ハル。男はオオカミなんだよ?イチにぃとは言え、気を付けなくちゃ」
“男はオオカミ”なんて言葉、どこで覚えたのよ。
頭が痛くなりそう。だけど悠のお蔭で、護くんから逃れられた。
写真は持っていかれてしまったけれど……。
そんなに見られたくなかったのかな。
「悠、帰ろっか」
「うん」
彼の手を取り、幼稚園を後にした。

