護くんのご両親の事は分からなかったけれど

その代わり幼い頃の話を聞けたし、得した気分。


急ぐ必要はない。今まで護くんは私を待ってくれていた。

今度は私が待つ番だ。

護くんが話してもいいと思えた時に、いつでも聞けるようにしよう。


それにしても、小さい護くん可愛かったなぁ。

だんだん成長していって、運動会や発表会、入学式や卒業式。

高校に入っての文化祭。何気ない、友人との写真がたくさんあった。

どれも護くんや周りの人は笑顔だったけれど、その中で一枚だけ私が気になったものがあった。


多分、文化祭の後だろうか。

友人から離れ、校舎の屋上のような場所で一人夕陽に向かって立っているものだ。

顔は映っていないけれど、どことなくもの悲しさをその背中から感じた。



「護くん、どんな気持ちだったんだろう」



写真を見ながら、思わず呟く。

あまりにも私がジッと見つめていたから、そんなに気になるのならって

拓篤くんがくれた一枚の写真。