「今度は、チビすけも一緒に遊びにいらっしゃい」



どうやら、悠は神谷さんに気に入られたようだ。

こうやって少しずつ、悠の周りで人の輪が広がっていく。

そしていつか悠自身で人の輪を広めていくんだろう。



「はい。是非」

「そう言えば、護はもう君のご両親に挨拶に行ったのかい?」



神谷さんの言葉に、拓篤君が「親父、失礼だろ」っと慌てて肘で彼の脇腹をつつく。

そう言えば、護くんの話ばかりして私のことを話していなかったな。

別に隠すつもりもなかったのだけれど、言う機会が無かった。



「いえ。私の両親は、高校の時に交通事故で亡くなったので……」

「それは、すまないことを聞いた」



バツが悪そうに、頭を掻く神谷さん。

彼の隣で、拓篤くんもすまなそうに眉を下げて謝った。



「それじゃ、悠を迎えに行きますので。今日は、ありがとうございました」



もう一度頭を下げて、私は神谷家を後にした。