その二人の雰囲気に、父と子の親子の絆を感じる。
きっといくつもの壁を二人で乗り越えてきたんだと思う。
だからこそ、今では笑って話すことが出来る過去。
そうでなければ、今でも蟠りが残りギクシャクしているだろう。
「今更、何言ってんだか。それに俺には護がいたし、親父が思うほど寂しくは無かったさ」
神谷さんの視線を感じていないかのように、拓篤くんはコーヒーを口に運び
コクリと喉を鳴らした。
「護、くん?」
「そうそう。前にも少し話したでしょ?護、高校卒業までココに住んでたんだ」
そうだ。以前、ココに来た時にそう言っていた。
余程、護くんのご両親の信頼を得ていたのか、それとも旧知の仲だったとか?
どちらにしてもココに下宿していた理由が分かれば、彼の両親の手掛かりになるかもしれない。
「どうして……護くんは、ここに住んでたんですか?その、ご両親と仲がいいとか――」
膝の上に置いた手をギュッと握りしめ、切り出した。

