クローバー♧ハート - 愛する者のために -


その二人の雰囲気に、父と子の親子の絆を感じる。

きっといくつもの壁を二人で乗り越えてきたんだと思う。

だからこそ、今では笑って話すことが出来る過去。

そうでなければ、今でも蟠りが残りギクシャクしているだろう。



「今更、何言ってんだか。それに俺には護がいたし、親父が思うほど寂しくは無かったさ」



神谷さんの視線を感じていないかのように、拓篤くんはコーヒーを口に運び

コクリと喉を鳴らした。



「護、くん?」

「そうそう。前にも少し話したでしょ?護、高校卒業までココに住んでたんだ」



そうだ。以前、ココに来た時にそう言っていた。

余程、護くんのご両親の信頼を得ていたのか、それとも旧知の仲だったとか?

どちらにしてもココに下宿していた理由が分かれば、彼の両親の手掛かりになるかもしれない。



「どうして……護くんは、ここに住んでたんですか?その、ご両親と仲がいいとか――」



膝の上に置いた手をギュッと握りしめ、切り出した。