「……はい」
引き攣る顔で振り向くと、護くんの親友である拓篤くんが立っていた。
「やっぱり、平野さんだ。俺ん家に何か用ですか?それとも、親父?」
屈託のない笑顔を浮かべて、話ながら近づいてくる。
あぁ、もう逃げらない。どうしよう……どうしたら、いいんだろう。
「あ、いや……」
どう言えばいいのか、内心焦りながら言葉を探す。
まさか護くんの過去について教えてください、なんて言えるはずも無い。
「例の件、解決したんですよね。もしかして、そのお礼とか?珍しく親父、休みなんで入って下さい」
「え、いや……あの」
否定できないまま、あれよあれよと言う間に
私は拓篤くんの手に引かれ、神谷家へと足を踏み入れた。
「いやぁ、いらっしゃい。今日は、チビすけは一緒じゃ無いんだね」

