クローバー♧ハート - 愛する者のために -


――――
――――――
――――――――



「来ちゃった――」



足を止めたのは、いつかきた「神谷」と書かれた表札の前。

居るかどうかも分からないのに、どうしよう。

詮索するつもりはない……んだけど、気になる。

それに、あれから護くんご両親のこと何も言ってこない。

もう夏が過ぎようとしてるのに――。


あー、でも本人がいないところで聞き出すっていうのも違う気が。

神谷さんの門の前で行ったり来たり、呼び出しベルを押そうとして止めたり

奮闘すること数十分。

何やってるんだ、私は……帰ろう。うん、それがいい。

踵を返し、一歩足を踏み出した。



「あれ、平野さん?平野陽香さんですよね?」



どうして、呼び止めちゃうかな。今帰ろうと決意したばかりなのに。

彼の言葉に、こんなにも簡単にグラついてしまう自分が悔しい。