「はるさん、女の顔してる。すっごい、色っぽい……帰りたくないな」
名残惜しそうに私の唇を指で撫でて、熱のこもった瞳で私を見詰めてくる。
私の気持ちを見透かされそうで、思わず俯き彼の胸に顔を埋めた。
「ば、ばか」
ドキドキ高鳴る、お互いの鼓動。
このまま、こうしていたい。だけど、そうもいかないのが現実。
両肩を掴まれ体を離すと、夏だと言うのに寒い気がした。
「このままだと、ココで押し倒しそうだから帰ります。お邪魔しました」
そういって、もう一度チュッと触れるだけのキスを落として帰って行った。
私はその場で余韻に浸りながら、彼と触れ会った唇に指先を当てる。
護くんと、キスしちゃった……。
意外と慣れてる気がするけど、今まで何人の女性と付き合ってきたんだろう。
詮索するつもりは無いけど、彼の過去が気になった。

