クローバー♧ハート - 愛する者のために -


もう少し一緒に居たい、なんて言ったら罰が当たるよね。

仕事なんだもん。わざわざ休みの日に付き合ってくれて、それだけでも有難いのに――。

想いが通じると、どんどん欲が出てくる。

もっと、もっとって……欲しがるだけじゃ、ダメって分かってるのに。



「じゃ、おやすみなさい……あ、忘れもの」



一回ドアに手が伸びたかと思うと、すぐに振り返り彼が近づいてきた。

なんだろうと近づくと、唇に掠めるように触れた何か。

何が起きたのか理解できなくて、その場に固まっていると

もう一度ゆっくり彼の顔が近づいてきて、そして重なる寸前に止まった。



「目、閉じて」



息が掛かるほどの距離で聞えた彼の声。

それが妙に色っぽくて、頬が熱くなる。



「え?……んッ」



彼の言葉に従い目を閉じると、さっきの掠めるようなものじゃなく

ゆっくり丁寧に重ねられた、温かくて柔らかなもの。

委ねるように体を寄せ、彼の胸に手を置いた。