もう少し一緒に居たい、なんて言ったら罰が当たるよね。
仕事なんだもん。わざわざ休みの日に付き合ってくれて、それだけでも有難いのに――。
想いが通じると、どんどん欲が出てくる。
もっと、もっとって……欲しがるだけじゃ、ダメって分かってるのに。
「じゃ、おやすみなさい……あ、忘れもの」
一回ドアに手が伸びたかと思うと、すぐに振り返り彼が近づいてきた。
なんだろうと近づくと、唇に掠めるように触れた何か。
何が起きたのか理解できなくて、その場に固まっていると
もう一度ゆっくり彼の顔が近づいてきて、そして重なる寸前に止まった。
「目、閉じて」
息が掛かるほどの距離で聞えた彼の声。
それが妙に色っぽくて、頬が熱くなる。
「え?……んッ」
彼の言葉に従い目を閉じると、さっきの掠めるようなものじゃなく
ゆっくり丁寧に重ねられた、温かくて柔らかなもの。
委ねるように体を寄せ、彼の胸に手を置いた。

