必死になって彼に詰め寄る私を宥めるように、優しく“大丈夫”を繰り返す。

けれど、言葉の最後はいつになく歯切れが悪かった。

そして何かを考えるように手を顎の下にもっていき、遠くを見つめている。



「少し時間をくれませんか?」



今度は、私が目を瞬かせた。

だって普段の護くんなら、笑って「もちろん、いいですよ」とか言いそうなのに

今回に関しては、慎重な姿勢を見せる。

それだけ、ご両親が厳格な人だと言うことなんだろうか。


あ、でも……高校卒業まで神谷さんのことろで、お世話になっていたって言ってたはず。

もしかして神谷さんと、護くんのご両親の仲がいいとか?

いろいろ浮かんでは消えていく疑問を振り払っていく。



「あ、でも。変な意味じゃないですからね」



と言った後「そう言っておかないと変に考えそうだから」と付け加えた。

もう既にいろいろ考えた後だけど、それは言わないでおこう。