悠に見られないように、顔を背けながら涙を拭う。



「ッ、お帰り悠。早かったのね」

「いや、これは……その――」



しどろもどろになりながら、私たちは真っ赤になった顔を誤魔化すように

咳ばらいをしたり、手で仰いで顔の熱を冷ましたりした。



「ま、いいけど……今度こそ“良かったね”」

「うん」



私達の不思議なやり取りに、?マークが頭の上に飛び交う護くん。

そんな彼の横で、私と悠はクスクスと笑い合う。


その後は三人で水族館を巡り、キラキラと目を輝かせて魚を見詰める悠の傍で

私は、護くんと時々見つめ合ったり手を繋いだりして、何年かぶりの恋人気分を味わった。

本当に幸せ。この幸せがずっと続けばいいのに――。


幸せと共に生まれた、小さな不安。

また裕貴の時のように、崩れ去っていくのではないかと。

そのことを考えると、気持ちが沈んでしまう。

幸せなはずなのに、どうして――。