「じゃ、もう一度言わせてください。平野陽香さん、俺と結婚を前提に付き合ってください」



抱きしめていた私を引き離し、両肩に手を置いて真っ直ぐな目で見つめる。

私は、それを逸らすことなく見つめ返した。



「本当にいいの?私で……」

「俺が欲しいのは、そんな言葉じゃありません」



見詰める瞳も、声音も凄く優しい。

嬉しくて、胸に熱いものが込み上げてきた。

今まで何度か恋してきたけれど、こんなに“愛”を感じることが出来たのは初めてかもしれない。

涙で震える声を、なんとか押し出して口を開いた。



「……はい。よろしくお願いします」



言い切ると同時に抑えきれない雫が、一つ頬に零れ落ちる。

それを、護くんが右手で掬い取ってくれた。



「――何こんなことで、抱きしめ合ってんの?恥ずかしい……」



悠の冷めた声に、二人とも一気に離れ距離をとる。

い、いつから見てたんだろう。

告白部分から聞いてたなら、かなり恥ずかしい。