開館前から今まで、ずっと悠を肩に乗せていたんだ。
いくら男性の護くんでも、疲れたに違いない。
「全然。これくらいで音を上げてちゃ、保父なんて務まりませんから」
護くんは、力こぶを作るように腕を曲げて笑顔を浮かべた。
それもそうか、普段から沢山の子供たちを相手にしてるんだから
案外これくらい何ともないのかも。
「それに、俺。この前の事で、改めて思ったんです」
「何を?」
「やっぱり、俺。はるさんのこと守りたいって。好きだからこそ俺の知らないところで、はるさんが泣いているのは耐えられない。一人の男として傍に居て支えたい。悠と三人で一緒に笑い合える家族になりたいって」
結構、人が多い館内。だから、人の話し声もそれなりにしている。
だけど、どうしてか彼の声だけはハッキリと聞こえた。
彼の想いが伝わって、胸が締めつけられるよう。
私も、彼の想いに答えたい。
ちゃんと、自分の言葉で彼に返そう。
彼に気付かれないように、小さく深呼吸をして護くんに向き合った。

