クローバー♧ハート - 愛する者のために -


「行く!見たい。でも、その前にオシッコしたい」

「わっ、分かったから急に動くなって。落っことすだろ?」



急に足をばたつかせ重心を変えたものだから、危うく後ろにひっくり返そうになる。

けれどすぐに体制を立て直して、ゆっくりと悠を降ろした。



「一人で行ける?」

「うん、平気。ココで待ってて」



そう言うと、タタタタと小走りでお手洗いのマークが掲げてある方へと走っていく。

あの遊園地の日から、部屋の中にいても「ハル居る?」と

何度も私の居場所を確認するようになった悠。

きっと迷子になったのがトラウマになっているのかもしれないと、様子を見ていたけれど

今日は平気みたい。少しは克服できているなら良かった。

ココで待っていれば、きっと悠なら迷うことなく帰ってくるだろう。



「護くん。ずっと悠を肩に乗せてたから疲れたでしょ?」



他の人達の邪魔にならないように、大水槽へと続く通路の一角にあるベンチに腰掛けて

二人で悠の帰りを待つことにした。