「行く!見たい。でも、その前にオシッコしたい」
「わっ、分かったから急に動くなって。落っことすだろ?」
急に足をばたつかせ重心を変えたものだから、危うく後ろにひっくり返そうになる。
けれどすぐに体制を立て直して、ゆっくりと悠を降ろした。
「一人で行ける?」
「うん、平気。ココで待ってて」
そう言うと、タタタタと小走りでお手洗いのマークが掲げてある方へと走っていく。
あの遊園地の日から、部屋の中にいても「ハル居る?」と
何度も私の居場所を確認するようになった悠。
きっと迷子になったのがトラウマになっているのかもしれないと、様子を見ていたけれど
今日は平気みたい。少しは克服できているなら良かった。
ココで待っていれば、きっと悠なら迷うことなく帰ってくるだろう。
「護くん。ずっと悠を肩に乗せてたから疲れたでしょ?」
他の人達の邪魔にならないように、大水槽へと続く通路の一角にあるベンチに腰掛けて
二人で悠の帰りを待つことにした。

