「あっ、ほら。ハル、イチにぃ、大きなお魚が来たよ」
指を刺した先には、真っ白なお腹を見せたエイの姿。
悠々と泳ぐ姿は、とても自由で気持ちよさそう。
そのトンネルを抜けると、青を基調とした水の世界が広がっていた。
広い空間の所々に、円柱状の水槽が天井まで繋がっている。
その中をアザラシが時折り、姿を見せては消え
そして現れては目の前の人と話をするようにじゃれていた。
周りには沢山のダウンライトに照らされた、小さな箱庭のような水槽。
その中を、縦横無尽に気持ちよさそうに泳いでいる色とりどりの魚たち。
悠は飽きることなく「あっちは?」「こっちは?」「何て言う魚?」と
矢継ぎ早に質問して護くんを困らせている。
そんな姿が、とても微笑ましくて傍から見れば本当の親子のように見えた。
「悠、護くん。あっちに大水槽があるって。行かない?」
なんだか、仲間外れにあったようで私は軽い嫉妬心にかられながら
彼らの傍に行き、悠の足を抱えている腕を引っ張った。

