クローバー♧ハート - 愛する者のために -


「あっ、ほら。ハル、イチにぃ、大きなお魚が来たよ」



指を刺した先には、真っ白なお腹を見せたエイの姿。

悠々と泳ぐ姿は、とても自由で気持ちよさそう。

そのトンネルを抜けると、青を基調とした水の世界が広がっていた。


広い空間の所々に、円柱状の水槽が天井まで繋がっている。

その中をアザラシが時折り、姿を見せては消え

そして現れては目の前の人と話をするようにじゃれていた。


周りには沢山のダウンライトに照らされた、小さな箱庭のような水槽。

その中を、縦横無尽に気持ちよさそうに泳いでいる色とりどりの魚たち。


悠は飽きることなく「あっちは?」「こっちは?」「何て言う魚?」と

矢継ぎ早に質問して護くんを困らせている。

そんな姿が、とても微笑ましくて傍から見れば本当の親子のように見えた。



「悠、護くん。あっちに大水槽があるって。行かない?」



なんだか、仲間外れにあったようで私は軽い嫉妬心にかられながら

彼らの傍に行き、悠の足を抱えている腕を引っ張った。