彼の手と自分の手を交互に見て、ようやく気が付いた。
手を繋ごうってことなんだと。
おずおずと手を伸ばし、彼の手に重ねる。
それを満足そうにニカッと笑って、重ねた手をギュッと握りしめた。
護くんの手から、熱が伝わったみたいに頬が熱い。
私は暫くの間顔を上げることが出来ず、ずっと俯いていた。
そしてゲートをくぐり、薄暗い館内に入っていく。
「うわぁ、凄いね。お魚、いっぱい」
悠が、感嘆の声を上げる。その声に、私も顔を上げて周りを見た。
トンネル状の空間をエスカレータに乗って、まるで海中を泳いでいるみたいに進んでいく。
「ほんと、綺麗……ね、悠」
感動して見上げるとそこには、優しい笑みを浮かべた護くんがいた。
車の中でもそうだけど、彼と目が合うたびに心臓がトクンと波打つ。
「フッ、やっと笑ってくれた。さっきから俯いたままだし、気分でも悪いのかなって心配してたんです」
「あ、いや……あれは……」
照れてたなんて言えなくて、また俯いてしまう。

