仕事が終わるまで一人で遊んでもらい、時々佳純さんたちに相手をしてもらったり
そんな毎日の繰り返し。
遊園地や水族館なんて、何年ぶりだろうってくらい来たことない。
もちろん悠なんて、初めてだ。
「夫婦だって。照れちゃいますね」
私に体を寄せて、耳元でそう囁く護くん。
彼は、老夫婦のいった別の言葉に反応したみたい。
確かに周りに“夫婦”だって見られていると思うと、照れてしまう。
でもどこかで、ずっとこの人の隣にいられたら幸せかもと思っている自分がいる。
「イチにぃ、前空いたよ。行こう」
悠の声に前を見ると、開館したのか前に並んでいた人との距離が出来ていた。
「はるさん、はい」
はいって何??
当たり前のように、笑顔で手を差し伸べる護くん。
その行為に、戸惑っていると「手」とまた短く答える。

