クローバー♧ハート - 愛する者のために -


仕事が終わるまで一人で遊んでもらい、時々佳純さんたちに相手をしてもらったり

そんな毎日の繰り返し。

遊園地や水族館なんて、何年ぶりだろうってくらい来たことない。

もちろん悠なんて、初めてだ。



「夫婦だって。照れちゃいますね」



私に体を寄せて、耳元でそう囁く護くん。

彼は、老夫婦のいった別の言葉に反応したみたい。

確かに周りに“夫婦”だって見られていると思うと、照れてしまう。

でもどこかで、ずっとこの人の隣にいられたら幸せかもと思っている自分がいる。



「イチにぃ、前空いたよ。行こう」



悠の声に前を見ると、開館したのか前に並んでいた人との距離が出来ていた。



「はるさん、はい」



はいって何??

当たり前のように、笑顔で手を差し伸べる護くん。

その行為に、戸惑っていると「手」とまた短く答える。