ワガママ坊主。でも、悠も護くんも楽しそうだから、いっか。
ここは、護くんに甘えちゃおう。
「いいわねぇ、若いご夫婦は」
「ワシも、もう少し若ければ孫を肩に乗せてやれるんだがな」
少ししわがれた話し声に、思わず振り向くと
そこには、六十後半から七十歳くらいの老夫婦が立っていた。
そして小学生らしい女の子が恥ずかしそうに、お爺ちゃんの背中に隠れるように
しがみついてこちらを睨んでいる。
「す、すみません」
「いやいや。羨ましいくらいですよ。この子の両親は共働きで、寂しい思いばかりさせてるんですから」
少し寂しそうに、それでいて子供に申し訳なさそうに溜息を吐く。
確かに、そういう家庭は少なくないかもしれない。
私もシングルマザーで、悠には寂しい思いや我慢をさせている。
今日だって、護くんが誘ってくれたからココに来たけれど
毎年のこの時期なんて、佳純さんにお願いして悠を病院に連れて行くのが恒例。

