クローバー♧ハート - 愛する者のために -


ワガママ坊主。でも、悠も護くんも楽しそうだから、いっか。

ここは、護くんに甘えちゃおう。



「いいわねぇ、若いご夫婦は」

「ワシも、もう少し若ければ孫を肩に乗せてやれるんだがな」



少ししわがれた話し声に、思わず振り向くと

そこには、六十後半から七十歳くらいの老夫婦が立っていた。

そして小学生らしい女の子が恥ずかしそうに、お爺ちゃんの背中に隠れるように

しがみついてこちらを睨んでいる。



「す、すみません」

「いやいや。羨ましいくらいですよ。この子の両親は共働きで、寂しい思いばかりさせてるんですから」



少し寂しそうに、それでいて子供に申し訳なさそうに溜息を吐く。

確かに、そういう家庭は少なくないかもしれない。

私もシングルマザーで、悠には寂しい思いや我慢をさせている。

今日だって、護くんが誘ってくれたからココに来たけれど

毎年のこの時期なんて、佳純さんにお願いして悠を病院に連れて行くのが恒例。