「来たばっかじゃん。疲れる訳ないでしょ?」
「こら、悠。生意気なこと言わないの」
右手に繋いだ悠の手を少し引いて、窘める。
「いいんですって。悠、疲れたら何時でも言えよ?肩車してやるから」
「え?ホント?!して、肩車」
現金にも、繋いでいた私の手をいとも簡単に放して護くんに向かって両手を差し出す。
それを驚いたように目を大きく開いて、そしてくしゃりと破顔させた。
「疲れてないんじゃないのか?」
くすくす笑って、悠の頭を掻き撫でる。
「疲れた。だから、して」
「もう、悠ったら……ホント、ごめんなさい」
「いいんですって。悠、しっかり掴まってろよ」
悠の小さな体を、両脇から手を差し込み持ち上げ自分の肩に乗せていく。
長身の護くんの肩の上から見る景色は、普段と違って怖いくらいかもしれない。
なのに、悠はとても楽しそうに笑みを浮かべている。

