入ってすぐに後部座席を見れば、悠が一人でシートベルトをしている姿が目に映る。
ある程度はひとりで出来るって知ってる。
だけど私と居ることを拒否されたみたいで、ちょっと寂しい。
「行きましょうか」
振り返ると、ちょうど護くんと目が合い「はい」と照れながら返事を返した。
きっとこれからも、少しずつ私から離れていくんだ。
それを寂しいって思っちゃいけない。
悠が大人へと成長している証拠なんだから、喜ばなくちゃ。
自宅から四十分ほど車で走ったところにある、結構有名な水族館。
ここはイルカショーだけでなく、水中トンネルもあり大人から子供まで人気だ。
夏休みだからなのか、それとも夏の暑さを避けるためなのか
開館前から、沢山の人が並んで待っている。
その最後尾に私たちも並び、順番を待つ。
「悠、大丈夫か?疲れてないか」
気を遣って優しい言葉を掛けてくれる護くん。
保父さんしているくらいだから、子供が大好きなんだろう。

