クローバー♧ハート - 愛する者のために -


あれ?ちょっと拗ねちゃったかな?

ま、まぁ。裕貴と行った時とは大違いよね。

あの時は張り切るどころか、憂鬱でしかなかったから

ファッションを意識することなんて無かったもの。

でも今日は違う。どこかソワソワして、でもとても楽しみでワクワクする。



「あ、来たよ」



悠が指差した方を見ると、奥の交差点から真っ赤なコンパクトカーがゆっくりとこちらに来るのが分かった。

護くんの車だ。目立つ分、見間違えることが無い。



「おはようございます、はるさん。待たせちゃいましたか?」



運転席から助手席を挟んで、覗き込むように顔を見せる護くん。

彼は、ブルージーンズに爽やかな水色のシャツを着ていた。



「おはよ。そんなに待ってないよ、大丈夫」

「暑いでしょ、乗って」

「あ、僕。後ろに乗るから、ハル前に乗って」



戸惑う私を他所に、悠は一人で後部座席のドアをあけて乗り込む。

ひとり残された私は、仕方なく助手席に乗り込んだ。