「悠……私、護くんのこと好きなのかな?」



答えてくれる訳でもない。

寝ている悠に聞こえるはずのない言葉。

自分の事なのだから彼が分かるはずの無いことなのに、どうしても零れ落ちてしまった。

トントンと軽いリズムで、小さく上下する彼の胸を叩いていく。


真っ直ぐな目で見つめてくる、護くん。

彼の嘘偽りない思いは、痛いほどに感じている。

だからこそ、迷ってしまう。

年の差の事もだけど、悠の父親になって貰っていいのか。

彼には、もっと別の幸せがあるんじゃないかって――。


そりゃ「付き合う=結婚」って考えること自体、気が早いって言われればそれまでだけど

どうしても、先に待つソレを考えずにはいられない。


もし、護くんよりも年齢が若ければ……。

もし、悠が産まれて居なければ……私は、即答していただろうか。

考えてはいけない“もし”が頭の中を駆け巡る。


そんな事を考えているうちに、悠の規則正しい寝息が子守歌となり

夢の中へと引き摺られて行った。