クローバー♧ハート - 愛する者のために -


バカだ、私。

彼を少し困らせたいと言う悪戯心と、自分の本当の気持ちを悟られたのが

恥ずかしいという思いがせめぎ合い、その結果こんな言い方になってしまった。

中学生でもあるまいし、30にもなって何をしてるんだか。

自分に呆れてしまう。



「そうですよね。変なこと言ってスミマセン」



あはは、と軽い笑い声をあげて視線を前に向ける。

それから視線は合うことなく、他愛のない話をして家路についた。



「あの、本当に一人で大丈夫ですか?俺、部屋まで悠を運びますよ」



寝付いた悠を抱きかかえるなんて、いつものこと。

私にとっては何でもないことなんだけど、優しい彼はそう言ってくれる。

後部座席から、寝付いて重い悠の体を抱きかかえながら降りていく。

そんな私をドアを開けながら心配そうに外で待ちながら、いつでも手を貸せるように右手が差し出されている。



「平気、平気。それより、護くんも疲れたでしょ?帰ってゆっくり休んで」

「いや……俺は、別に」