クローバー♧ハート - 愛する者のために -


なにも照れることはないんだと思うけど

何故だか恥ずかしくて、面と向かって言うことが出来ない。

だから悠の元へ掛けより際に、護くんに聞えるか聞こえないかの小さな声で呟いた。



「……え?」



やっぱり聞こえていなかったようで、目をパチパチしながら瞬きを繰り返す。

だけど、もう一度言う勇気なんてない。

でもきっと、これからも沢山彼には言うだろう。



「はるさん、待ってください。さっき、なんて言ったんですか~」



ワザと彼の声が聞えなかった振りをして、そのまま悠の元へ。

私を追いかけて護くんも、駆け寄ってきた。



「悠ぅ~」



ぎゅっと抱きしめる小さな身体。

不意打ちの所為で、抵抗することなく抱きしめられている彼の顔は

驚いた顔から、だんだん赤くなっていく。


いきなり目の前で抱擁する私に、目を丸くして驚く裕貴たち。

「重い!」と文句を言いながら抵抗する悠に構わず抱きしめ続ける。

そんな私たちを見て、由依さんと目を合わせて笑い合う裕貴。

その輪に遅れてきた護くんも加わり、更に温かい空気が私たちを包んだ。