なにも照れることはないんだと思うけど
何故だか恥ずかしくて、面と向かって言うことが出来ない。
だから悠の元へ掛けより際に、護くんに聞えるか聞こえないかの小さな声で呟いた。
「……え?」
やっぱり聞こえていなかったようで、目をパチパチしながら瞬きを繰り返す。
だけど、もう一度言う勇気なんてない。
でもきっと、これからも沢山彼には言うだろう。
「はるさん、待ってください。さっき、なんて言ったんですか~」
ワザと彼の声が聞えなかった振りをして、そのまま悠の元へ。
私を追いかけて護くんも、駆け寄ってきた。
「悠ぅ~」
ぎゅっと抱きしめる小さな身体。
不意打ちの所為で、抵抗することなく抱きしめられている彼の顔は
驚いた顔から、だんだん赤くなっていく。
いきなり目の前で抱擁する私に、目を丸くして驚く裕貴たち。
「重い!」と文句を言いながら抵抗する悠に構わず抱きしめ続ける。
そんな私たちを見て、由依さんと目を合わせて笑い合う裕貴。
その輪に遅れてきた護くんも加わり、更に温かい空気が私たちを包んだ。

