赤くなる頬を隠すように、手を振り上げ護くんを叱りつける。
「ごめんなさ~い。許して~」
大袈裟にそう謝ると、その場から逃げ逃げるように走り始めた。
反射的に普段悠を追い掛けるように、護くんに向かって走りだす。
「はぁ~……騒がしくて、すみません」
そんな二人を見ながら溜息を吐いた悠は、裕貴たちに子供ながらに謝る。
それを見た裕貴は、クスクスと喉を鳴らして笑い始めた。
「悠、なかなか大変だな。何かあったら、連絡して来いよ。俺はお前の父親なんだから」
「こら、そこ!悠を誘惑しない!!」
街路樹に身を隠しながら、右に左に方向転換しながら逃げる護くんの背の奥で
悠に話しかける裕貴の姿を見つけた私は、即座に指をさして叫ぶ。
私の見ていない隙に、悠に声掛けようなんて百年早いのよ。
「別にしてないだろ」
眉を下げ呆れたように苦笑する裕貴。
悠はまた、溜息を吐いて「ばか」と小さく呟く。

