突然の護くんの申し出に、裕貴は躊躇せず安心した表情を浮かべた。
そうして私たちは、遊園地の出口まで歩きそれぞれの車に向かうことになった。
裕貴と由依さんは、自分の車へ。
私と悠は、護くんの車に向かって――。
「あの、陽香さん」
二人と別れ際に、遠慮がちに声を掛けてくる由依さん。
私は不思議に思いながらも、彼女に向き合った。
「はい?」
「あの……私が言うのも変ですけど、孝宏さんには気を付けてください」
孝宏――その名前は、絶対に忘れない。
裕貴のお父さん。由依さんを焚き付けた張本人だ。
「どうして、そんなことを?」
あの人が要注意人物ってことは、重々承知している。
だけど、それをどうして由依さんが忠告してくるのか。

