クローバー♧ハート - 愛する者のために -


突然の護くんの申し出に、裕貴は躊躇せず安心した表情を浮かべた。

そうして私たちは、遊園地の出口まで歩きそれぞれの車に向かうことになった。

裕貴と由依さんは、自分の車へ。

私と悠は、護くんの車に向かって――。



「あの、陽香さん」



二人と別れ際に、遠慮がちに声を掛けてくる由依さん。

私は不思議に思いながらも、彼女に向き合った。



「はい?」

「あの……私が言うのも変ですけど、孝宏さんには気を付けてください」



孝宏――その名前は、絶対に忘れない。

裕貴のお父さん。由依さんを焚き付けた張本人だ。



「どうして、そんなことを?」



あの人が要注意人物ってことは、重々承知している。

だけど、それをどうして由依さんが忠告してくるのか。