少し小悪魔っぽく、そう呟く。

なんだか彼女らしさが、戻って来たみたい。

でも、きっと彼女が一番欲しかった言葉だったのかもしれない。



「ばか。言えるかよ」



裕貴は恥ずかし気に頬をだけでなく耳まで真っ赤に染めて、そっぽを向いた。

私にだって、そんな言葉言ってくれたことない。

ちょっと妬けちゃうけど、これでいい。

きっと裕貴は……うんん、裕貴だけじゃない。由依さんも変われるはず。


噛み合わなかった“夫婦”という歯車が、今ようやく噛み合ったんだ。

何があっても、二人で手を取り合って乗り越えていくだろう。


そして、私は願う。

これから二人でしか作れない幸せを、掴んで言って欲しいと――。