ちょっと待って、今の言葉聞き捨てならない。
誰が誰を誑かしたって?!……憎みこそすれ、そんなことしたことも無い。
しかも裕貴たちが婚約してから、一度も連絡すらしてないのに
どうやって誑かすって言うのよ。言いがかりも程々にして。
「私、そんなことしてない」
「嘘よ。じゃ、なんで裕貴はあなたの名前を呼ぶの?」
は?!私の名前を?裕貴が?……どうして?私こそ知りたいわ。
困惑する私を他所に、由依さんは気が高ぶっているのか
捲し立てるように言葉を吐き出していく。
「毎晩、毎晩……裕貴は、あなたの名前を呼ぶの。私を抱いている時でもよ?貴方があの人を誘惑しているからでしょう?!」
どうして裕貴が私の名前を呼ぶのかは、知らない。
だけど由依さんが私に嫉妬している、という事だけはハッキリと分かった。
この際、護さんがどうしてココに居るのかは置いといて、先にこれをどうにかしなきゃ。
彼女の思いを聞けば、どうして悠を養子にしようと言い出したのか
理由が分かるかもしれない。

